地域の教育力や地域協働による活動支援を通して、地域とともに魅力ある学校づくりを行い、農山漁村での宿泊や生活体験、地域の伝統文化等や人と人との触れ合いの中から、児童の豊かな人間性、社会性や自ら考えて行動できる力、規範意識などの育成を支援するために、各地域に設置されている「チャレンジ学校づくり支援事業実行委員会」によって実施されている、小学校同士の交流事業です。
宮島地域においては、宮島地域コミュニティ推進協議会や宮島学園、宮島学園PTA、宮島支所などで「宮島小学校チャレンジ学校づくり支援協議会」を構成し、吉和地域の支援協議会と協力し、各地域において年2回ずつ、宮島小学校と吉和小学校の3、4年生を対象に交流事業を実施しています。
この交流事業を通じ、お互いの地域の伝統・文化に触れ、たくさんのことを学ぶことができます。また交流をしていく中で、子どもたちは見違えるほど成長します。
学校から地域へ出て、行事に参加したりする事業なので、地域の方々のご協力が不可欠です。実際に、これまで吉和と宮島地域において事業を継続できているのは、各地域の方々のご支援・ご協力の賜物です。
◎第1回in宮島(平成26年5月7日)
体験活動1
弥山登山
10時30分、はじめのつどいをした宮島市民センターからスタートし、大聖院ルートで山頂付近の霊火堂を目指します。
天気は快晴で、美しい新緑の中、気持ちの良い登山となりました。吉和地域の支援協議会会長である吉岡さんも一緒に登山しました。
途中で休憩をとりつつ、「大丈夫?」「もう少し!がんばろう!」と声をかけあいながら登りました。
ちょうど12時ごろ霊火堂前に到着し、弁当を食べました。しんどい登山の後の弁当は最高の味でした。
←大聖院ルートで登山
体験活動2
弥山七不思議めぐり
弁当を食べた後、大聖院の日高さんに「弥山七不思議」について、その場所をめぐりながら話をしていただきました。
「弥山七不思議」とは弥山にまつわる、「錫杖の梅」「曼荼羅岩」「消えずの火」「時雨桜」「龍頭の杉」「干満岩」「拍子木の音」の七つの不思議なお話のこと。現存するもの、しないもの、現存はするが見に行ける場所でないものなど様々ですが、子どもたちは目を丸くして話に聞き入っていました。
最後は質問の嵐となりましたが、日高さんは「人の考えがおよばないものが『不思議』なので、なぜ?と言われても誰もわからないのです」と綺麗にまとめられました。
↑霊火堂前で「消えずの火」のお話
弥山七不思議めぐりを終えると、再び大聖院ルートで下山し、桟橋広場でふりかえりをして解散となりました。
弥山登山は吉和小学校の子どもたちはもちろん、宮島小学校の子どもたちにとっても貴重な経験でした。3年生同士は初対面でしたが、一緒に登山をする中で、「がんばろうや」と声をかけたり、しんどそうな子の背中を押してあげたり、コミュニケーションをとりながら協力し合い、仲良くなれた様子でした。
◎第2回in吉和(平成26年5月13日)
宮島小学校の子どもたちは、宮島口桟橋からバスに乗り、10時前に吉和小学校へ到着。10時からはじめの会をした後、少し時間に余裕があったため、吉和展望台へ向かうことになりました。
展望台からは吉和を一望でき、非常に澄んだ空気できれいな眺望を見ることができました。吉和の支援協議会会長の吉岡さんが吉和地域のことについて、山に囲まれた集落であることや、合併前は佐伯郡の中で2番目に広い村であったことなど説明をしてくださいました。
←吉和展望台からの眺め
体験活動1
アスレチック
展望台からもみのき森林公園へ。11時に到着し、もみのき森林公園の方に注意事項を聞き、班ごとに『わんぱくの森アスレチックコース』にチャレンジしました。
その名のとおり森の中に約30種の遊具があり、難易度はさまざま。簡単にクリアする子もいれば、苦労している子もいましたが、アドバイスをし合ったり協力をして一つずつみんなでクリアしていきました。
No.16「ゆらゆら渡り」に挑戦中→
体験活動2
あまごつり
吉和小学校へ戻り地元の食材を使った給食を食べ、再びバスに乗り「つりぼり亭にしむら」へ。
にしむらには二種類の魚が放流されており、「体の横に赤い斑点がある『あまご』、丸っこくて白い斑点がある『いわな』、二種類の違いを覚えて帰ってほしい」と従業員の方に説明を受けました。釣竿・練りえさ・バケツの3点セットを持ち、班ごとにチャレンジしました。
最初はなかなか釣れませんでしたが、コツをつかむとどんどん釣りあげていきました。全員が釣ることができるように、交代しながら挑戦し、全員が一回は釣ることができました。みんなが釣りあげた魚は、にしむらの方が唐揚げにしてくださり、全員でいただきました。
↑かかるまで、じーっと待つ!
バス酔いする子もいましたが、吉和の大自然の中での交流活動は子どもたち同士の絆を深めてくれたように見えました。普段見ることのできない風景、普段遊ぶことのできない場所、全て貴重な経験・財産になったのではないかと思います。
あまごといわなの唐揚げ→
◎第3回in宮島(平成26年10月14日、15日)
今回は二日間の日程で実施され、宮島氏神祭に参加し、吉和の子どもたちは宮島で民泊を経験しました。
一日目の午前中はオリエンテーションの後、宮島芸能保存会の佐伯さんに午後から体験する餅つきの時に唄う「餅つき唄」を習いました。
体験活動1
紙芝居鑑賞
みんなで給食を食べた後、宮島市民センターへ移動。
宮島に伝わるカラス天狗のお話、『カラス天狗と南禅寺の豆腐』を、作者である宮島歴史民俗資料館の船附さんと絵作家の六百田さんに演じていただきました。
みんな真剣に聞き入り、船附さんが鬼を演じて大きな声を出すとビクっと驚いたりしていました。
紙芝居の後の船附さんのお話も、大鳥居や氏神祭について、また船附さんの子どもの頃の話など、大変興味深いものでした。
←左が船附さん、右が六百田さん
体験活動2
餅つき(氏神祭)
紙芝居終了後、法被に着替えて表参道商店街へ。
「お食事処 たち花」前では、すでに朝から続く餅つきが大盛況でした。
宮島芸能保存会の演奏に合わせて餅つきをしました。最初は「こね唄」で蒸したもち米をこねます。4人で臼を囲み、くるくる周りながら粒がなくなるまでしっかりとこねたら、次に杵を持ち「つき唄」に合わせて、餅をついていきます。
こねるのもつくのも、とても体力のいる作業ですが、みんなしっかりと唄いながらがんばりました。最後は大人が仕上げをし、完成。
餅つきの後、たち花の中に移動し、前夜祭「よごろ」を体験。さっきついた餅が入ったうどんをいただきました。
↑地域の方々に見守られながら餅つき
一日目の日程はこれで終了し、吉和の子どもたちは宮島小PTAの方のお迎えで、それぞれ民泊先のお宅へ。
宮島小の子どもたちは集団下校の形でそれぞれ帰宅しました。
体験活動3
きよもりスタンプラリー
二日目、通常の登校時間どおりに吉和小学校の子どもたちと一緒に登校し、朝のあいさつをして、きよもりスタンプラリーへ。
「きよもりスタンプラリー」は平成24年に宮島で実施されていたイベントで、ホテルやお店など島内各所に設置されているパネルと一緒に写真を撮り、台紙にスタンプを押していくというもの。スタンプはすでにありませんが、パネルが残っているものもあり、吉和小の子どもたちへの宮島案内も兼ねて、マップを頼りにパネルを探し、写真を撮ってくるという活動です。島内をたくさん歩きました。
←常乙女に設置してあるパネル
体験活動4
氏神祭子どもみこしかつぎ
給食を食べた後、昨日と同じ法被に着替え、桟橋へ向かいます。桟橋に到着すると、すでに地域の方々が子ども御輿をスタンバイしてくださっていました。
肩を入れてしっかり担ぐ、笛の音に合わせて「おみこし!わっしょい!」と大きな声を出す、など御輿の担ぎ方を教えてもらい、いよいよ桟橋前から御輿担ぎをスタートします。道中は地域の方々や観光客の方々から温かい声援をいただきながら、担ぎ手を交代したり休憩したりしながら順調に進んでいきました。
厳島神社手前の御笠浜で記念撮影をした後、神社へ入り、大人の御輿と一緒に「二礼二拍手一拝」の作法をきちんと守り、お祓いを受けました。神社を出た後は「お食事処 たち花」まで御輿を担いで戻りました。
↑桟橋から御輿担ぎスタート!
御輿担ぎをもって全日程が終了しました。今回は二日間の日程で、一日目の餅つき、二日目の御輿担ぎなど体力的にもきつい活動であったと思いますが、子どもたちは二日間通して非常に元気に、大きな声を出して積極的に活動していました。また、地域の方々へ、感謝の気持ちをしっかりと伝えることもできました。
地域の伝統・文化を知るという意味でも、地域と関わるという意味でも、二日間の氏神祭に参加したということはとても意義があったのではないかと思います。
「大きくなってもまたおみこしをかつぎたい」
この交流活動を体験した子どもたちが、地域の伝統・文化を引き継ぐ担い手になってくれるのだと感じました。